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2020年2月17日

成功事例から学ぶ、SDGsと日本の中小企業経営の親和性

国際連合(国連)による採択から約5年が経過し、持続可能な開発目標「SDGs」に取組む日本企業のすそ野も広がりを見せています。そのなかで注目の動きのひとつが、SDGへの対応を経営メリットへとつなげている中小企業です。4つの事例をもとに、そうした動きの一端をご紹介します。

1. SDGs(読み方はエスディージーズ)とは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、「持続可能な開発目標」を意味します。国際連合(国連)によって2015年に採択された世界共通目標であり、2030年までに達成すべき17のゴールとそれを細分化した169のターゲットが設定されています。17のゴールは、下記図それぞれのアイコンと共に記載されており、169のターゲットは、この17のゴールをより具体的にしたものです(*1)。

そのSDGsの採択からおよそ5年の歳月が経過したいま、各国の政府機関/企業の間ではSDGs達成に向けた動きが活発化し、日本においても、規模の大小・業種を問わず、多くの企業がSDGsに取組みはじめています。外務省が運営するSDGsの推進サイト「Japan SDGs Action Platform(*2)」で紹介されている企業の取組み事例だけでも、すでに200件近くに上っています。

2.  外務省主催「ジャパンSDGsアワード」を中心に4つの事例を紹介

こうした動きのなかで、中小企業の取組みも注目を集めるようになってきました。今回は、そのなかでも、SDGs活用の好例を4つピックアップしてご紹介します。

事例1:社内活性化・新規取引先獲得に成功した老舗印刷会社

最初にご紹介する事例は、従業員40人強(*3)で1881年創業の老舗印刷会社、大川印刷の取組み(*4)です。この事例は、SDGs活動を本業に取入れ、成功を収めた好例として広く知られ、外務省が主催する「第2回ジャパンSDGsアワード(*5)」の「SDGsパートナーシップ賞」を受賞しています。

大川印刷では、経営計画そのものに自社で実現可能なSDGsを実装。印刷を通じて社会に貢献することをめざし、人体に有害な石油系溶剤を含まないインキ(インク)を使用したり、印刷事業により排出される年間のCO2を算出し、その全量を太陽光パネルの設置などにより打ち消す活動(カーボンオフセット/*6)を行うなどしています。この印刷方式を顧客が選ぶことにより、その印刷物のCO2排出量はゼロカウントとなり、顧客のCO2削減実績となります。
こうした取組みのなかで、2017年にSDGs経営のプロジェクトチームを立ち上げ、社員が主体的にSDGsに取組める環境を整えました。また、自社のWebサイトもSDGsに焦点を当てて刷新、SNSでの発信にも力を入れています。
その結果、SDGsに取組む企業や団体との取引は年々増え続けているとのことです。さらに、留め金に紙を使用した卓上カレンダーなど、環境にやさしい新商品の開発も行いました。

事例2:SDGsを知り、今までの取組みに自信を持った「元・まちの電器店」の取組み

2つ目の事例は、岐阜県中津川市のタケイ電器の取組みです(*7)。

同社は地域密着型の電器店で従業員数は約10名。もともとは、いわゆる「まちの電器店」だったのですが、2代目社長が「このままでは経営が先細りになる」と考え、リフォームや家庭用太陽光発電の事業に取組みはじめました。

さらに、この再生可能エネルギーの普及活動だけにとどまらず、地方経済の衰退問題の解決にも取組んでいます。ソーラーシェアリング(営農型発電)という、畑に設置した太陽光パネルによる発電売買収入と、その下の畑での農業収入を両立させた事業を行っています。あくまでも、主軸は農業と位置付けており、IoTを駆使した利益の出る農業をめざしています。こういった「持続可能な農業の実現」による中津川への移住・定住促進が経済の衰退問題の解決策になると考えています。将来的には、これらの取組みをビジネスモデル化し、他地域での農業支援にも乗り出すことを構想しているといいます。

SDGsを取り入れたというよりもむしろ、「SDGsの考え方の多くが、自社の事業と合致していると気づき、自分たちの取組みが間違えでなかったという自信につながった」といえる事例です。

事例3:「中小零細、個人でもできることはある」との思いで、ニッチ産業からSDGsに取組む

3つ目にご紹介するのは、従業員10数名で卒塔婆(*8)の生産・販売を手がける谷治新太郎商店の取組みです(*9)。東京都西多摩郡に本拠を構える同社では、現在の社長に変わってから、業界でも珍しい卒塔婆のネット販売で売上げを伸ばしてきました。もともと限られた市場であり、かつ核家族化や檀家離れが進み需要が減り、廃業する同業者も出ているなかでのこと。中小企業では、こういったニッチ市場に根ざしている企業も少なくないでしょう。

社長がたまたま目にした外務省の専用サイトに注目し、数年前からはじめていた使用済み卒塔婆のリサイクル、社内の省電力化やペーパーレス化などの取組みをSDGsの各項目に当てはめ、自社サイトへ掲載。外務省へ問合せリンク申請したところ、約1か月後にリンクされたようです。
その当時、外務省のサイトに掲載されていたのは大手企業ばかりでしたが、「中小零細企業であっても個人であってもできることはある」との思いから、SDGsへの取組みを拡大し、その取組みを発信しています。
さらに、社員がボランティア活動に参加した際の代休や手当てを拡大するなど、就業規則を変更してまで、地域貢献をサポートする体制を整えています。

SDGs導入の効果に対しても、「電気料金や紙資源の削減はもちろん、社員のモチベーションが高まった」と社長は話しています。

事例4:SDGsで新市場開拓にも挑む創業400年の和菓子店

広島県福山市の老舗和菓子店、虎屋本舗は、事例1の大川印刷と同じく「第2回SDGsパートナーシップ賞」を受賞した企業です(*10)。

従業員数約80名の同社では、SDGsに取組む以前から、地域の至る場所で「和菓子の移動教室」を展開しています。これは、高齢者である熟練の職人を離島や山間部などの地域に派遣し、その地域の子どもから高齢者と一緒に和菓子を作るという事業です。「高齢者や子どもが中心に取組めるSDGs活動は、地方創生のロールモデルとなり得る」と、アワードでも高い評価を得ました。
和菓子文化の地域での浸透・継承に力を注ぎつつ、高齢者の積極雇用など、人材のダイバーシティも進めてきたといいます。現在は、こうした取組みをSDGsのゴールと重ね合わせ、企業ブランディングに活かしているほか、地域の多様な食材や人的リソースを活用した新商品開発など、地域貢献と新市場開拓を一体化させた取組みもSDGs活動として推進しています。

3. SDGsで高まる企業のサステナビリティ

今回ご紹介した4社に共通しているのは、「従来から推進してきた環境保全や地域社会への貢献活動をSDGsの活動として見える化することで、顧客や市場、地域などにアピールしていること」です。このことが、顧客の市場の開拓、従業員のモチベーションアップという効果を生み、さらには人材の利活用の面でもうまくいっている企業もあるようです。

とは言え、中小企業のSDGsへの関心は、決して高いとは言えないのが現状です。取組む必要性は理解していても自社にはその余裕がない、知ってはいるが国連が採択したものなので自社には関係ないなどの理由も見受けられます(*11)。しかし、今回ご紹介した事例のように、SDGs導入により、現実にメリットを享受している中小企業もありますし、それらの多くは、SDGsを表面上取り入れたのではなく、経営計画から自社で実現可能なことを実施していった、もしくは、もともとの取組みをSDGsという枠で整理したという傾向が見て取れます。

「なぜSDGsへ取組むべきなのか?」と考えた時に、日本語訳では「持続可能な開発目標」という名が示すように、地球環境の存続が危ぶまれるようでは、企業活動の存続もままなりません。さらに、SDGsには、国際社会が抱えるさまざまな課題が網羅されています。つまり、これらの課題への対応を行うということは、今後起きるであろう経営リスクを回避することになります。また、そうした対応を率先して行うことは、社会への貢献であり地域での信頼獲得につながります。このようにして得た企業イメージは、「この会社で働いてみたい」という印象を与え、多様性に富んだ人材確保にもつながる可能性があります(*12)。

もちろん、そういった「守り」の目的だけではありません。SDGsの目標が示すものは、「満たされていない世界のニーズ」と捉えることもできます。つまり、これを未開拓の巨大な市場と考えれば、日本企業への資金流入のチャンスと捉えることもできます。

前出の「SDGs経営ガイド」によれば、機関投資家の間では、消費者の意識向上に後押しされ、SDGsやESG(*14)への関心は上がっております。特に欧州では、ESGにもとづいて投資の可否を判断するESG投資が一般化しつつあるようです。それは投資家の企業に対する観点が、その企業が「今まで必要とされていたのか?」よりも、「将来の企業価値はどうなるのか?」へ変わりつつあると言え、SDGsの考え方である「これからも必要とされますか?」という考え方とも合致するということです。

つまり、自分たちの会社にあった形でのSDGsへの取組みが、消費者や従業員、もしくはそうなり得る方々への企業としての価値を高め、さらに、銀行などの機関投資家からの信頼も勝ち取る可能性を持つということです。

「SDGs経営ガイド」では、以下のようにも述べられています。

日本に古くからある「三方よし(*15)」の精神に見られる「『会社』は『社会』のためにある」という考え方のように、SDGsは日本企業や商習慣にとって親和性が高い。

言い換えれば、投資家の目を意識しなくとも、会社の理念ややるべきことを日本企業の精神で取組むことが、結果として投資家からの評価にもつながるということです。

17の目標と、それを細分化した169のターゲットという数字が示すとおり、SDGsの目標は非常に多岐にわたります。ただし、単一の企業がすべてのゴールを追求する必要はなく、今回取り上げた事例のように、今までの自社での取組みをSDGsの枠組みで整理し、会社の方針や戦略などと結びつくところを見つけ出す。そこから取組むべき目標を明確にしていくことがポイントです(*16)。こうした取組みが、前述したような企業価値の向上とそれによるメリットをもたらす可能性があります。

このように考えていくと、SDGsへの対応はそれほど難しい話ではありません。企業の規模や業種・業態にかかわらず、取組みをはじめることは十分可能といえるのではないでしょうか。まずは、17の目標と169のゴールのうち、自社の活動にマッチする部分を探すことからはじめてみてはいかがでしょうか。

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