2019年3月28日

テレワークをはじめる前に、しておく事とは?

オフィスに出勤せず仕事をするテレワーク。生産性を上げるため、中小企業はどう実践すべきか、シリーズで取り上げます。第2回目はいざ導入決定後に「すべき事」を解説。

1. テレワーク導入には、社員の意思統一が大切

一億総活躍社会実現のために、内閣が推進している働き方改革。そのなかで、「ICT(情報通信技術)を活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」であるテレワークも注目されています。シリーズ企画2回目は、テレワーク導入の準備編。前回に引き続き、一般社団法人 日本テレワーク協会事務局長の富樫美加さんからお話をうかがいます。

富樫さんによると、「ICTの進展で、テレワーク導入の技術的なハードルは低くなってきました。現在は会社内の意思統一の方が大切。共通の目的意識を持つことと、コンセンサスづくりが必要です」とのこと。そこで今回は、スムーズなテレワークのスタートに向けて、いくつかのポイントについて説明します。

その第一歩は「目的の明確化」と「社内の意思統一」です。

テレワークの導入には、次のようなプロセスを想定すると、準備のイメージがしやすいと思います。

出展:テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック(p.44/厚生労働省)掲載の図表を編集部で加工して作成

できれば会社のトップが率先して推進役となり、総務人事、経営企画、情報システム部門などを連携して組織横断的な体制を組むのが理想です。そしてまず、導入の目的を明確にし、社内で共有していきます。

導入目的は会社によって多岐にわたると思います。「長時間労働を解消したい」「グローバル化に対応したい」「優秀な人材を確保したい」「さまざまな経費をコストダウンしたい」「災害時にも事業が継続できる体制にしたい」など、具体的な目標を社内で共有することで、目的意識をもってテレワークに取組むことができます。

テレワークを実施するということが漠然と目的化し、実際の生産性向上や人材の確保が疎かにならないように各部門、各社員が目的を共有することと、導入部門が偏らないように、なるべく全社員が対応できるような目的・目標を設定することが大切です。

日本テレワーク協会・富樫さんも、「たとえば、育児・介護と仕事の両立だけを目的にすると、対象者本人たちも特別扱いを受けているということで、肩身の狭い思いをすることになりかねません。なるべく、対象者を広く設定できるように考える必要があります」と語っています。

2. 新たなルールづくりと、就業規則の見直し

富樫さんによると、「テレワークは、誰に(対象者の選定)、どの仕事を(対象業務)、どれぐらいの頻度でやってもらうかを決めておく必要があります」とのことです。

「対象者の選定」は、関係者の理解を得られるよう、明確な基準を設けることが重要です。たとえば自宅介護のためなどテレワーク対象者のニーズと、生産性向上など会社がテレワークを導入する目的とのバランスが大切になります。さらに、「対象業務」を洗い出します。具体的には、業務の遂行に「どれぐらいの時間が必要か」「電子ファイルが使えるか」「実施できるシステムがあるか」「セキュリティの対応はどうか」「業務遂行にどれぐらいの関係者がいるか」などを基準に、仕事内容を整理していきます。

現在企業がテレワークで実施している業務内容は、第1位が「資料の作成・修正・管理」、次に「上司や同僚、相手先との連絡・調整」、そして「社内手続き」と続きます。そして頻度ですが、これはトライアル期間を設けて、はじめは少なく、テレワークが関係者に浸透してきたら頻度を増やす、という風に段階的に実施するとスムーズなようです(*1)。

またテレワークでも、労働基準法などの労働関係法令を遵守することが大切です。テレワーク時の労務管理について会社としてルールを定めましょう。

たとえば、勤務について、新たに次のような就業規則を定める必要があります。

・テレワーク勤務を命じることに関する規定
・テレワーク勤務用の労働時間を設ける場合、その労働時間に関する規定
・通信費などの負担に関する規定

労働基準法のほかにも最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険などの労働基準関係法令が適応されます。詳しくは厚生労働省がとりまとめたガイドライン(*2)がありますので、ぜひご参照ください。

3. テレワークのためのICT環境づくり

会社に現在あるICT環境について確認し、「すでに使えるシステム」と、必要に応じて「追加すべきシステム」を整理します。

ICT環境には、労務管理などを行う「マネジメント」、文字・音声・映像などを使った「コミュニケーション」、使用する機器に応じた「セキュリティの確保」という3つの側面があります。それぞれの側面から、システムや機器を考えるか、すべて統合された環境を整えるか、内容と予算に応じたシステムの選定を行いましょう。

出展:テレワークではじめる働き方改革 テレワークの導入・運用ガイドブック(p.69/厚生労働省)掲載の図表を編集部で加工して作成

日本テレワーク協会・富樫さんは、「ICT関連ツールは、目的や用途に応じて幅広い選択肢があります。私たち日本テレワーク協会でも、関連ツール一覧をまとめた冊子(*3)も配布していますので、ぜひそちらも参考にしてください」と、アドバイスします。

また、Web会議システムもテレワークに有効な手段のため、導入を検討してもよいでしょう。富樫さんは、「テレワークが広がらない理由の一つとして、中間管理職が目の前にいない部下をマネジメントできないと反対する場合があります」といいます。ICT環境のなかでも、目の前に部下、上司、同僚が対面でいるようにコミュニケーションできれば、テレワークに理解が進むと考えられます。

*3 参照: 下記サイトからファイルのダウンロードも可能です(会員専用ページにアクセスが必要)。詳しくはリンク先のページをご確認ください。
    「『テレワーク関連ツール一覧』第3.1版」(日本テレワーク協会)

4. 中小企業に適したシステムの検討

前述のようにコミュニケーションのためのツールと同時に、労務管理上の勤怠管理や在席管理のシステムも必要です。通常の管理であっても人力での作業にはミスが発生しやすく、またまとめるのに非常に手間がかかります。それがテレワークとなれば、手間や時間がかかるだけでなく、より煩雑になりやすいので、勤怠はシステムで管理することがおすすめです。

たとえばドコモが提供している勤怠管理ツールには「KING OF TIME」があります。またスケジュール管理であれば、「G Suite」「Office 365」といったグループウェアと呼ばれるクラウド型の統合スケジュール管理ソフトもあります。そのほかにも、さまざまなシステムがあるので、日本テレワーク協会の相談窓口(*4)に問い合わせてみるのもよいでしょう。

*4 参照: 電話やメールでの連絡・相談が可能です。詳しくは、相談窓口「テレワーク相談センター」のサイトにてご確認ください。

最後に、今回のまとめについて富樫さんにお話しいただきました。

「テレワーク成功に向けて、導入目的と成果がつり合う見込みがあるか、会社の利益に貢献できるかどうかを指針にするとよいでしょう。総務省の通信利用動向調査では、テレワークをやっている企業の労働生産性(粗利÷従業員数)は、やっていない企業の1.6倍という調査結果が出ているので、ぜひ企業トップが率先してテレワーク導入に取組んでいただきたいと思います」。

次回の中小企業のテレワーク実践については、目的別にITシステムをどう選ぶかについてご説明します。

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