2019年7月29日

中小飲食店の経営に役立つIT施策

中小企業庁では中小飲食店の課題解決にIT化が有効であるとかねてから唱えています。その主張を参考に中小飲食店の経営を支援するIT施策についてご紹介します。

1.  データに見る中小飲食店の課題

中小飲食店は、消費者の日々の生活を支える大切な存在です。日本の各所で暮らし、働く方々の食生活に深く入り込み、小さいながらも、数多くのファンを持つ店も珍しくありません。

ただし、中小企業庁によれば、日本の中小飲食店の多くが、さまざまな課題を抱えているといいます。同庁が2017年3月に公表した「中小企業・小規模事業者のIT利用の状況及び課題について」(以下、「中小企業庁レポート」と呼ぶ)によれば、そうした課題のなかで、特に深刻なのが「労働時間が長く、従業員の定着率が総じて低い」という点です(図1)。

図1: 中小飲食店の労働時間と離職率

中小企業庁レポートの指摘によると、こうした現状を打開するには、より少ない労力で、より多くの収益を上げられるようにすることが大切で、そのためには、サービス品質の向上など、顧客満足度を高める施策にITをうまく活用したり、ITによって業務の効率性を高めたりすることが必要といいます。

では、顧客満足度のアップや業務の効率化に役立つITソリューションにはどのようなものがあるのでしょうか。以下、そのいくつかをご紹介します。

2.  顧客満足度の向上に役立つIT施策

飲食店に対する顧客満足度を決める要素は、お店の雰囲気や料理そのものの品質、コストパフォーマンス、そして顧客サービスの品質などとさまざまです。そうした要素の良否は、多くの場合、お店の方の経営方針や力量によって決定づけられるもので、その意味で、顧客満足度の向上にITが直接貢献できる部分は少ないかもしれません。

ただし、顧客サービスについていえば、ITで充実させる方法はさまざまにあります。一例は、店内のWi-Fi環境を整えることです。日本人のスマートフォン保有率は2017年時点で60.9%に上り、20代・30代の保有率は90%を超え、40代の保有率も85%強に、50代でも72%強に達しているといいます(*1)。お店でWi-Fiサービスを提供することで、そうしたスマートフォン利用者の満足度を上げられる可能性があるのです。

クレジットカードや電子マネーを使ったキャッシュレス決済(=キャッシュレスでの支払い)に対応することも、顧客にとっての店舗の利便性を増すという点で効果的です。

また、クレジットカードや電子マネーは、使用するたびにポイントという特典が利用者に付与されるのが一般的です。ですから、キャッシュレス決済への対応は、顧客のポイント獲得に貢献し、顧客から見たお店の魅力を増すことにつながるといえます。

そうしたなか、中小飲食店のキャッシュレス化を後押しするソリューションとして特に注目を集めているのが電子マネーを使ったQRコード決済サービスであり、ドコモでもQRコード決済に対応したスマートフォン決済サービス「d払い」を提供しています。

d払いの場合、一般的なクレジットカードに比べ決済手数料が安価に設定されているので、小口決済が中心の飲食店にとっても導入の敷居は低いといえます。また、d払い加盟店になることで、ドコモが擁する数多くのお客さまにdポイント獲得の機会を提供することができ、集客効果も期待できます。

3.  現場の業務効率を高めるIT施策

現場業務の効率化にもITは役立ちます。

たとえば、セルフオーダーシステムの導入によって、注文処理は自動化されますし、先に触れたキャッシュレス決済に対応すると、レジでの現金のやりとりが減り、レジオペレーションが効率化されます。 

さらに、会計や給与、勤怠管理のシステムを導入することで管理業務の効率性を上げられる可能性があります。

特に中小の飲食店では、数多くのパート/アルバイトの方を雇用し、少ない人数の正社員の方で、お店を切り盛りされていることが珍しくありません。そのため、店舗スタッフの勤怠管理や給与計算、シフト管理といった管理業務の負荷が大きくなりがちで、店舗が複数になると、その負担がさらに増します。ドコモでは、そうした管理業務の負担を軽減するために、勤怠管理のクラウドサービス「KING OF TIME」を提供しています。

これは、スマートフォンやタブレットを出退勤の打刻端末として使い、打刻された出退勤記録をリアルタイムにクラウドに集めて集計し、管理者のパソコンなどで見える化するサービスです。店舗スタッフのシフトも人件費と併せて管理でき、店舗の売上予測に応じて人的リソースの配分を適正化することも可能です。

加えて、POSシステムを導入すれば、売上管理業務の効率化につなげられます。というのも、POSシステムを使うと、どの商品が、いつ、どれだけ売れたかの集計が自動化されるからです。これによって、メニューごとの売行きや人気/不人気も数値でかんたんに把握できるようになります。さらに、POSデータとメニューの原価とを照らし合わすことで、メニューごとの採算性も見えるようになり、メニューの値づけの適正化も図れるようになります。

もう一つ、集客の労力を低減する一手として、自作のスマートフォンアプリ(以下、スマホアプリ)を使って「割引クーポン」やお店からの「お知らせ」を配信し、来店・再来店を促すという方法があります。

飲食店の場合、画期的な新メニューを開発したものの、周知が思うように進まず、来店者数がなかなか伸びないことが起こりえます。紙のチラシを数多く配布すれば、相応の効果は期待できますが、それには多くのコストと手間がかかるのが一般的です。スマホアプリを使った集客は、そうした問題を解決しうるソリューションで、大手飲食チェーンの多くがスマホアプリを使った集客マーケティングを展開しています。

スマホアプリの開発は敷居の高い取組みに思えるかもしれません。ただし、ドコモが提供している「ModuleApps」のサービスをご利用になれば、あらかじめ用意されているクーポン配信やプッシュ通知、来店ポイントなどの機能をアプリに組み込むだけで、お客さま独自の販促アプリを短期間/低価格で作り上げることが可能です。 

以上のように、ITは、中小飲食店の顧客満足度の向上や現場業務の効率化に貢献できる可能性が大きくあります。また、ITによる業務の効率化によって従業員の負担が大きく減れば、減った分の労力をサービス品質の向上と、それによる顧客満足度のアップに転換できるかもしれません。そうなれば、従業員の負荷低減と収益増を両立できる可能性が拡がっていくのです。

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