2018年4月2日コラム

【第2話】「人材ケア」の具体的方策(皆月みゆき)

人材不足を解消する多様な能力の活かし方

本人のスティグマを取り除く

 人材不足の大波を乗り切るには、制約がある従業員が働きやすい職場をつくることが肝要です。前回は、最初に経営者がその意志を職場全体に宣言する必要性を伝えましたが、この考えは、制約を持つ本人にも伝えることが大切です。

 これまでの慣習として、「仕事とは、万難を排して一目散に向かうこと」という考えが根強くあるため、子育てや親の介護、病気の治療などで仕事に全精力を注げない人は、職場にとってお荷物ではないかという考えを持ちやすくなります。周囲に自分の仕事を認めてもらえないという負のレッテルを感じることもあります。ソーシャルワークでは、心身の障害や貧困など集団の中で何らかの劣等感を抱くことを「スティグマ」(烙印)と言い、こうした負のレッテルを感じることも指します。

 スティグマが増長すると、離職やメンタル不調、思わぬ仕事上の事件や事故につながる可能性が出てきます。また、組織での自分の存在を低く見てしまい、自ら活躍することを制止してしまいがちです。

 インクルージョンマネジメントは、多様な人が活躍するためのマネジメントです。言い換えれば、制約があることが活躍しない、または活躍できない理由にならないマネジメントでもあります。スティグマを持たないようにさせることも、経営者の仕事です。それを伝えていくためには「アナセンの3原則」が役に立つと考えます。

 アナセンの3原則とは、デンマークの福祉大臣も務めたベント・ロル・アナセンが1982年に高齢者福祉の原則として「継続、自己決定、残存能力活用」を唱えたものであり、できる限り自分の力で生きる力を獲得するという考え方が根底にあります。(*1)

 制約を持った人材と高齢者とに、どのような共通点があるのかと思うかもしれませんが、実際には両者とも誰かの支援を必要としているにも関わらず、支援を受ける状況に申し訳なさや劣等感(=スティグマ)を抱えやすいという意味では共通しています。

 ここで大事な点は、申し訳ないという思いを払拭させることです。そして、離職させない会社側の努力(継続)、制約がある中でも自らのキャリアを決めていくことで生まれるエンパワメント(自己決定)、例えば保育園のお迎えがある中でこそ短時間で効率的な業務推進能力が高まるといった、制限があるからこそ育まれる能力開発(残存能力活用)が活躍を促すために注視すべき大事な要素になると考えます。

 制約を抱えることが活躍できない理由にならない組織をつくり、それを言い訳にしない従業員が増えていくことが、健全な組織経営につながります。

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