2018年2月5日コラム

【第3話】働く個人が取り組めるストレス対処法(宮川浩一)

中小企業のメンタルヘルス入門

感情をコントロールする「アンガーマネジメント」の実践方法

 まず衝動的に反応しないことが重要です。例えば、朝の通勤の満員電車で言い合いや小競り合いの場面に出くわしたとします。きっかけは、ちょっと足を踏まれたとか肘が当たったといった程度のもので、そこからもめごとに発展するようなトラブルです。この時にすぐにカッとしてやり返したり、言い返したりせず、ひと呼吸つく、心の中で「大丈夫」とか「落ち着け」といった言葉をつぶやくことで、少し冷静になって大きなトラブルになることを防ぎます。怒りのピークは数秒といわれていますので、この数秒間に衝動的に反応しないことが重要です。

 怒りは突然沸き上がってくるものではなく、「不安」、「痛い」、「疲れた」、「寂しい」、「いやだ」といったネガティブな感情が膨れ上がって、心のキャパシティーを超えたときに怒りの感情につながると言われています。つまり、怒りとは第2次感情なのです。様々なネガティブ感情が蓄積されていると、ちょっとしたことでキャパシティーを超えてしまい、衝動的に反射してしまうのです。これを防ぐには、ネガティブな感情をため込まないことも必要ですが、心のキャパシティーを大きくしていくことも必要です。

怒りの原因となる「コアビリーフ」は人それぞれちがう

 では、心のキャパシティーを大きくするには、どうしたらいいのでしょうか。まずは、自分が持っている思考(物事の考え方、捉え方、価値観など)を知ることが重要です。

 あなたにとって自分を怒らせる原因は何だと思いますか。それは誰か特定の人でしょうか、それとも何かのできごとでしょうか。実はそうではありません。自分の考え方の傾向や価値観が、怒りの原因を作り出しているのです。自分の持っている思考、コアビリーフ(こうあるべきという思い)が目の前の現実と相いれないときに、怒りの感情が生まれます。

 仕事のあり方や社会でのマナーなど、守られるべきルールは世の中にたくさんありますが、厄介なのは信じているコアビリーフが人それぞれ違うということです。

 例えば、「会議の時間は守るべきだ」と考えている人は多いと思いますが、「少なくとも5分前には会議室にいるべき」という人もいれば「時間ちょうどにいればいい」という人もいます。お互いに思っている程度が違えば、人間関係にも影響が出るかもしれません。

 それでは、このコアビリーフとどう付き合っていけばいいのでしょうか。「自分の中で許せる領域」「まあ許せる領域(ここまでが許容範囲)」「許せない領域」という3つの領域があるとすれば、本当に怒るべきなのは「許せない領域」にあるものです。それ以外は怒る必要がないのです。怒ってしまった後に「よく考えるとこんなに怒る必要はなかったな」と後悔する場合は、実は許容範囲のできごとだったのかもしれません。

 必要なことには怒り、必要のないことには怒らずに済ませるためには、まずこの「許容範囲」と「許せない範囲」の境界線を意識することが必要です。加えて、許容範囲をできるだけ広げて、許せない範囲を減らすことができれば、怒りの感情にとらわれる機会も減らせます。無理に広げる必要はないですが、できるだけ広げることを意識してみましょう。同時に、広げた境界線を安定化させることも必要です。その時々の機嫌で境界線を変えてしまうと周りが混乱します。

 例えば、先週は指定された時間に会議室に行っても何も言われなかったのに、今日は「会議は5分前に来ているのがあたりまえだろ」と課長に叱られた。このケースのように、その時々で言っていることが違うと、言われているほうはどっちなのということになってしまいます。怒りの境界線が安定しないと信頼にも関わりますので、自分でも常に意識しておきましょう。

 怒りの境界線は、人に開示することも大事です。先のケースで言えば、会議開始5分前に来てほしければ、事前にそのように伝えておくことが必要です。部下も「5分前に行かなくては」と思うようになるでしょう。このように境界線(会議開始5分前)をあえて見せることで、周りが許せない領域に入らなくなり、イライラしたり、腹を立てたりすることが少なくなるのです。結果的に、自分も周囲も楽になり、ストレスを減らすことができます。

 

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