2018年1月22日コラム

【第2話】効果的な企業のメンタルヘルス対策とは(宮川浩一)

中小企業のメンタルヘルス入門

SOCを向上させる企業の取り組み事例

 筆者は、某外資系生命保険会社の顧客サービス部門の従業員を対象に、「契約プロセスの効率化」をテーマにワークアウトを実施しました。従来はお客様からの契約申込受付~契約成立・保険証券発行までのプロセスにかなりの日数を要していましたが、このプロセスのどこにボトルネックがあるのかをチームメンバーで検証し、問題の特定、コストや対応期間などをもとに現実的な解決策を立案。上司への提案、承認、実行までをおこない、従来に比べ2~3日の所要日数の短縮を実現しました。

 この取り組みの前後でストレス反応(抑うつ感)やSOCがどう変化するのか、介入を実施する学習群と非学習群で違いがあるのかを比較。ワークアウトによる介入が、SOCの向上やストレス反応(抑うつ感)の軽減に影響するのか否かを目的とした研究です。

 顧客サービス部門の従業員70名を対象として、ワークアウトによる介入および質問紙調査を行い、その結果から次のような点が明らかになりました。

(1) 学習群に対するワークアウトによる介入により、介入後のストレス反応(抑うつ感)の軽減とSOCの向上に一定の効果が確認されました。

(2) 実施しない非学習群との比較でもストレス反応、SOCともに有意な差がみられました。

(3) 介入後に一定の効果が確認できましたが、半年後の調査では介入前よりも改善はしているものの介入後より数値が低下していました。

 

 以上のことから、介入効果の持続性に課題はあるものの、ワークアウトがメンタルヘルス対策に有効であることが明らかになりました。実際の職場の問題解決に取り組むプログラムであるため、メンタルヘルスへの有効性だけではなく、組織の生産性向上や業績向上に寄与する点がポイントです。専門的な知識がなくても実践できるため、コストや専門人材の不足等からメンタルヘルス対策に十分取り組めなかった中小企業においても、今回の問題解決手法は実施可能な取り組みのひとつでしょう。

 今回は組織の取り組みについて述べてきましたが、次回は、働く個人が取り組める効果的なストレスコーピングをご紹介します。

参考文献

▶ アーロン・アントノフスキー,山崎喜比古 他訳『健康の謎を解く ストレス対処と健康保持のメカニズム』有信堂高文社,2001, p24-7,124-38,149-88,222-5. 

▶ 山崎 喜比古 他編『ストレス対処能力SOC』有信堂高文社,2008.

 

宮川 浩一(みやがわ・こういち)
(株)ネオシステムEAP事業部長
国際EAPコンサルタント(CEAP)
組織開発や職場環境改善を通じた0次予防のメンタルヘルス対策を推進。組織コンサル、経営者・従業員へのコーチング・カウンセリング、企業研修・各種セミナー等を通じたEAPサービスを提供している。また、筑波大学大学院においてストレスマネジメント研究に携わり、現在もストレス対処能力を醸成する中核概念であるSOC(首尾一貫感覚)の介入研究に取り組んでいる。
宮川 浩一

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