2020年3月3日

翻訳機能をカスタマイズして駅の構内放送も多言語化

東京地下鉄株式会社さま

日本初の地下鉄として開業した東京メトロ。外国人のお客さまへの対応に無料翻訳アプリを利用していたが、鉄道特有の言葉や駅名などの固有名詞が正確に翻訳されず、コミュニケーションがうまく取れない場合もあった。これらの問題が、「はなして翻訳」の導入により解決に向かう。さらに、駅係員の姿勢も積極的になったという。

導入前の課題
  • 1 外国人のお客さまからのお問い合わせには駅係員が英語で対応していたが、英語以外の言語を話すお客さまへの対応に苦慮していた。
  • 2 鉄道特有の言葉や駅名などの固有名詞を正しく翻訳するツールが必要だった。また、その導入にあたっては駅係員が使いやすく、スムーズな会話ができる翻訳ツールを選びたかった。
  • 3 列車遅延など異常時のお知らせを駅の構内で放送する際、あらかじめ録音した英語でしか放送できていなかった。
導入後の成果
  • 1 多言語対応の「はなして翻訳」は英語以外の言語にも対応できる。音声が聞き取りやすいので、異常時のご案内のときにも外国人のお客さまが安心した気持ちになれる。
  • 2 導入時の定型文カスタマイズにより、鉄道特有の言葉や駅名なども正確に翻訳してくれる。頻出フレーズが簡単に呼び出せる「定型文機能」も現場の意見を集約したので使い勝手がよい。
  • 3 ご案内フレーズを「多言語放送機能」で選んだ言語に翻訳して順に音声を流せる。また、「リピート再生機能」を使えば、設定した間隔で繰り返して放送できる。
1.  鉄道特有の言葉の壁をクリアして旅客サービスを向上

首都圏の地下を網の目のように走る東京メトロ。1927年、上野浅草間で日本初の地下鉄として開業し、現在は9路線、195.0kmの地下鉄を運営する。1日750万人以上というお客さまのなかには外国人の姿も多く、駅にはインバウンド対策として、7言語に対応した旅行者向け券売機なども導入した。しかし、外国人のお客さまから個別の対応を求められた際などに解決すべき課題があったと鉄道本部 営業部 旅客課 課長補佐の梅川さんはいう。

「駅係員が片言の英語で対応していましたが、英語以外の言語を話すお客さまへの説明に苦慮しておりました。また、無料翻訳アプリを利用し工夫しておりましたが、鉄道特有の言葉や駅名などの固有名詞が正確に翻訳されず、コミュニケーションがうまく取れないこともありました。公共交通機関として、質の高いサービスを提供するというところを使命としてやっておりますので、外国人のお客さまにも、多言語でスムーズに対応できるようにすることが大きな課題でした」(梅川さん)。

梅川さんとともに、駅業務における旅客サービスの向上を図る中山さんは、駅構内の放送にも課題があると感じていたそうだ。

東京地下鉄株式会社 鉄道本部 営業部 旅客課 主任 中山さん

東京地下鉄株式会社 鉄道本部 営業部 旅客課 主任
中山 さん

「悪天候による列車遅延などが発生した場合、お客さまに状況を素早くお知らせする必要があります。駅係員はあらかじめ英語で録音しておいた音声のなかから適したものを選んで放送していましたが、その音声の種類が少ないため、想定していない事態についてはお知らせができませんでした。また、近年は英語以外の言語を話すお客さまも大勢利用されますので、多言語でお知らせしたいと思っていました」(中山さん)。

以前から、スマートフォンによる駅業務の効率化という構想を持っていた梅川さんは、ドコモとのやりとりを進めるなかで12か国語対応の「はなして翻訳」を紹介された。

「機能面や翻訳精度を検証している際に、依頼すれば辞書機能を東京メトロ仕様にカスタマイズできることを聞きました。それができれば、鉄道特有の言葉なども正確に翻訳され、外国人のお客さまへの対応がスムーズになるだろうなと思いました。それに、駅の放送設備とタブレットが接続できるので構内放送の多言語化が可能になると紹介されました。これが一番の決め手となり、導入することにしました」(梅川さん)。

はなして翻訳を使っての外国人のお客さまへの対応
「はなして翻訳」で外国人のお客さまへの対応がスムーズになった

「はなして翻訳」とは?

「はなして翻訳」は、スマートフォンやタブレットを通して、外国人への接客(またはコミュニケーション)をサポートする翻訳アプリです。 業種ごとのインバウンド接客対応に合わせて、定型文や辞書カスタマイズが可能です。また、毎月の利用状況をレポートできるので、法人さまのインバウンド売上向上のサポートができます。

2.  駅係員のニーズに応え、独自の工夫で機能を充実

東京メトロでは「はなして翻訳」の導入時に定型文機能のカスタマイズも実施した。より使いやすくなることで駅係員が積極的に活用してくれると考えたからだ。中山さんは外国人のお客さまのご利用が多い駅に足を運び、よく使うフレーズを駅係員から聞き取った。
「イベントに向かうお客さまが多く利用する駅やビジネス街の駅など、駅それぞれの状況によって提案されたフレーズは多岐にわたりました。しかし、定型文機能のフレーズが多くなり過ぎると使いたいフレーズを探し出す手間が増え、使い勝手が悪くなります。そこで、集まったフレーズを一つひとつ精査して、運転関係のご案内や異常時のお知らせなど、百数十種類の定型文に集約しました」(中山さん)。

工夫したのが運行に関する定型文などをはめ込み式にしたことだ。たとえば、「□~□間は折返し運転を実施しております」というフレーズを定型文機能に登録し、状況に応じて□のなかに該当する駅名をはめ込む。
「路線名のように選択肢が少ない場合は□をタップすると9路線の名称が表示され、そこから選ぶ形式にしていますが、選択肢が多い場合は手入力ではめ込む形式にしています。こうした工夫をしたことで、定型文機能にさまざまな状況のフレーズが登録でき、なおかつ使いたいフレーズを探し出す時間も短縮されました。異常時にも多言語で即座にご案内ができるようになりました」(中山さん)。

定型文機能の充実を実現した東京メトロは、各路線の駅係員の代表を集め、「はなして翻訳」の研修会を実施。機能や操作方法を説明するとともに、お客さまサービスを向上したいという会社の思いを伝えた。
「研修会に参加した駅係員がそれぞれの駅でほかの駅係員に操作方法を伝え、お客さまサービス向上の意識も共有するという動きを作りました。待機時間に、はなして翻訳の操作を練習する駅係員も多いと聞いています。研修会を実施してよかったと思っています」(中山さん)。

上野駅に勤務する亀崎さんも研修会に参加した一人。「はなして翻訳」に装備されている放送用機能の説明を聞いて、抱えている課題を解決できると直感したそうだ。
「以前は、英語の音声が入ったCDを用いて駅構内の放送をしていましたので、誰かがその都度、CDの操作をしなければいけませんでした。はなして翻訳には設定した間隔で繰り返し放送するリピート再生機能があり、そばについている必要はありません。駅係員がほかのお客さまに対応している最中でも放送できます。選んだ言語に翻訳して順に音声が流れる多言語放送機能も、とても便利です」(亀崎さん)。

はなして翻訳利用画面
はめ込み式の「定型文機能」で異常時のお知らせを素早く放送できる
3. 活用範囲の拡大で、新たなサービスを創造

「はなして翻訳」の導入によって、外国人のお客さまに対応する駅係員の姿勢が積極的になったと喜ぶ梅川さん。今後、外国人のお客さまのご利用がますます増加すると予想されることから、「はなして翻訳」の活用をさらに広げていきたいと考えているそうだ。

東京地下鉄株式会社 鉄道本部 営業部 旅客課 課長補佐 梅川さん

東京地下鉄株式会社 鉄道本部 営業部 旅客課 課長補佐
梅川 さん

「国際的なイベント会場の最寄り駅では外国人のお客さまが大勢利用されるだろうと思いますので、イベント会場までの道順など、ニーズが高いフレーズを定型文機能に登録したいと思っています。また、観光スポットが近い駅や大学が隣接する駅など、それぞれの駅特有のニーズに応じたフレーズを定型文機能に盛り込み、各駅に特化したご案内ができるようにしたいと検討しています」(梅川さん)。

首都圏の鉄道ネットワークとしてお客さまサービスの向上をめざす東京メトロ。独自の工夫を加えた「はなして翻訳」の活用で顧客満足度をさらに押し上げていくことだろう。

関連する導入事例
  • 記事を読む
効率的な英語学習で「対応力」と「国際力」を育む

多くの難関大学合格者を輩出する学校法人城西学園。教員の負担をへらしつつ、中学1年生で英検5級全員合格という目標を達成。タブレットとEnglish 4skillsの成果とは?

  • 記事を読む
バス車内に整備されたフリーWi-Fiで乗客の満足度が向上

広島県内で高速バスを運行する5社は、車内にドコモWi-Fiを導入した。キャリアフリーで外国人客も使えるWi-Fiは、他社との差異化や満足度向上に役立っている。

  • 記事を読む
タクシー車内の新決済システムで乗客の満足度を向上

秋田県の国際タクシー株式会社は、モバイルを活用してクレジット決済に対応し、売上アップと顧客満足度向上を実現。操作も簡単で乗務員にも好評を得ている。

  • 記事を読む
百貨店業界向けの翻訳カスタマイズでサービス向上

訪日外国人で賑わう東京・銀座。老舗百貨店「松屋銀座」では、ICTを活用して多言語対応を実現し、言葉の壁を感じさせない親切ていねいな接客を提供している。

関連するコラム
  • 記事を読む
現代は本当に「モノが売れない」時代なのか?

バブル経済終焉以降「モノが売れない時代」といわれていますが、本当にモノが売れていないのでしょうか。「モノが売れない」と感じる理由をデータから読み解きます。

  • 記事を読む
成功事例から学ぶ、SDGsと日本の中小企業経営の親和性

国際連合(国連)による採択から約5年が経過し、持続可能な開発目標「SDGs」に取組む日本企業のすそ野も広がりを見せています。そのなかで注目の動きのひとつが、SDGへの対応を経営メリットへとつなげている中小企業です。4つの事例をもとに、そうした動きの一端をご紹介します。

  • 記事を読む
MaaSで利便性が向上!変革する地域の“移動手段”

いま、ICTを活用した新しい“移動”の概念「MaaS」によって、地域交通の利便性を高め、地域の活性化に役立てようとする動きが活発化しています。そのトレンドをご紹介します。

  • 記事を読む
再確認!街のお店がコード決済をはじめるメリット

一般消費者の間で話題のコード決済。この決済手段に対応することで、店舗はどのようなビジネスメリットを手にできるのでしょうか。その利点をご紹介します。

メールマガジン登録

Biz Solution by docomoでご紹介する導入事例や最新ビジネストレンドなどの記事を無料でご案内いたします。

お問い合わせやご相談はこちら

サービスについて詳しくお知りになりたい場合は、
メールまたはお電話でご依頼ください。