2018年11月19日

ベテランドライバーも納得の、人材不足解消策とは?

日環さま

栃木県における産廃事業の先駆者・日環が、人材不足を解決するために用いたソリューションとは? その高い効果にベテランドライバーも納得しているという現状をリポート。

導入前の課題
  • 1 配車予定表を紙で出力していたため、新規の収集依頼を受けた際は事務所に電話して配車スケジュールを確認していた。また膨大な数があるにも関わらず、収集場所の確認も紙の地図だったので非効率だった。
  • 2 オペレーターとドライバーの情報共有手段は携帯電話のみだったため、口頭で情報を伝えるのに限界を感じていた。
  • 3 タイムレコーダーと紙のタイムカードで勤怠管理をしていたため、手作業でデータ化しなければならなかった。
導入後の成果
  • 1 配車予定や地図などの必要な情報をスマートフォンやタブレットから確認できるようになったため、オペレーター、ドライバー、営業担当者が電話でやりとりしていた手間がなくなった。
  • 2 スマートフォンから写真を社内ポータルにアップロードできるようになったため、オペレーターとドライバーの情報共有が迅速かつ確実に行われるようになった。
  • 3 タブレットやスマートフォンから打刻された出退勤記録がクラウド上に即座に送信されるなど、手入力でのデータ化作業がなくなり、勤怠管理の負荷が大幅に軽減した。
1. 業界の先駆者でも、人手不足は大きな課題

栃木県宇都宮市の日環グループは、産業廃棄物の収集・運搬から、中間処理(リサイクル)、最終処分までを一貫して手がける総合廃棄物処理事業者だ。グループの母体であり、産業廃棄物の収集・運搬事業を展開する株式会社日環を中心に、中間処理施設である株式会社日環リサイクルワールドや株式会社日環市貝リサイクルセンター、さらには最終処分場を運営する株式会社安住などで企業グループを形成している。

設立は1977年、産業廃棄物の収集・運搬から事業をスタートした。1985年には最終処分場を、1992年にはリサイクルセンターを稼働させ、「循環型社会」の実現に向けた廃棄物処理事業を先駆的に手がけてきた。中間処理施設を持つ同業他社とのパイプも築き、リサイクルに関する顧客の多種多様なニーズに対応している。従業員数はグループ全体で160人、日環単体で99人。保有トラック台数(登録台数)は53台を数え、廃棄物処理事業者としては県内最大規模を誇る。(2018年現在)。

そんな同社の最大の課題が人手不足だ。その状況について、同社営業部の部長、佐藤さんは次のように打ち明ける。

「産業廃棄物処理の仕事は増え続けていて、多数のトラックを保有し、スピード対応を守り続けてきた当社ですら、お客さまを待たせてしまうことがあるほどです。そのなかで、十分な数の働き手が確保できずにいるのが、我々の業界の現実です。なかでも、廃棄物の収集・運搬を担うトラックドライバーの人材不足は深刻で、若い世代のなり手が非常に少なく、当社が募集をかけても若手はなかなか集まりません。現場を支えているのは大多数が40〜50代のベテランなんです」。

佐藤さんによれば、こうした人手不足の問題を解決するには、技術の力によって業務の効率化を推し進める以外に方法は見当たらないという。その考えにもとづく施策の一環として、同社ではスマートフォンとグループウェア「G Suite」、そして勤怠管理システム「KING OF TIME」による業務効率化に乗り出した。

株式会社日環 営業部 部長
佐藤 昌男さん

2. 紙中心のオペレーションと携帯電話の限界

2つのソリューションのうち、同社が先に導入を決めたのはG Suite。目的は産業廃棄物収集・運搬にかかわる業務の変革と効率化にあった。

同社では従来、トラック手配の予定表(配車予定表)を紙に出力し、本社事務所の中央に置いて全員が参照できるようにしていた。

「そのため、お客さま先にいる営業担当者が新規で収集依頼を受けても、その時点でのリアルタイムな配車スケジュールを確認する手段がなく、事務所に電話で問い合わせする必要がありました。確認し、配車予定が詰まっていた場合には、改めてお客さまとスケジュールをすり合わせ、再度、本社事務所にその日時でいいか確認の連絡を入れるといった作業を繰り返していました。非効率でしたね」(佐藤さん)。

取締役
駒場 洋助さん

また、ドライバーは、廃棄物収集の場所確認にも紙の地図を用いていた。それも業務の効率性という点で問題があったと、取締役の駒場さんはいう。

「弊社の取引先はおよそ1,200社、収集場所は約3,000か所におよびます。ドライバーは、その収集場所を示した紙の地図を使って行先を確認していたのですが、地図ファイルの管理が粗(あら)く、ドライバーたちはいつも目的の地図を探すのに手間取っていました。そうした時間の無駄もなくしたいと前々から考えていたんです」(駒場氏)。

さらに、実際の現場では、収集場所や収集対象の廃棄物が、依頼内容と異なる場合があるという。このようなとき、ドライバーが本社事務所のオペレーターに連絡を入れて、確認をとってもらうのが通常のやり方だった。というのも、取引先が非常に多いため、顧客ごとの担当者の連絡先をドライバーは把握していなかったからだ。

「現場で何らかの問題が発生したときに、ドライバーが直接、お客さまの担当者に問い合わせれば、速やかに問題が解決できることが多いのですが、かつてはそれができなかったんです。加えて、ドライバーがオペレーターと連絡をとる手段が携帯電話だったことも問題でした。オペレーターがドライバーに正しい収集場所を伝えるにしても、ドライバーが廃棄物と依頼内容との違いをオペレーターに伝えるにしても、口頭だけではうまく説明できないことがあったからです。結果として、オペレーターとドライバーとの間で確認が何度もやりとりされることもありました」(駒場さん)。

3. スマホとG Suiteで無駄を省く

G Suiteは、上述したような業務上の非効率さを低減させるために導入された。

「私たちがめざしたのは、収集・運搬にかかわる情報をすべてデジタル化して、全社的に共有することです。それを実現するソリューションを探すなかで、ドコモからG Suiteの紹介を受け、これならば自分たちの考えが実現できると確信し、採用を決めました」(佐藤さん)。

この導入と併せて、同社は45台のスマートフォンを新たに導入し、全ドライバーに貸与。そして、G Suiteを活用した社内ポータルサイト(以下、ポータル)を構築し、2018年4月から本格運用をスタートさせている。

「このポータルには、パソコン・スマートフォン・タブレットからアクセスできるので、配車予定やお客さまの担当者の連絡先、依頼内容、収集場所の地図など、収集・運搬の業務に必要とされるほぼすべての情報を、誰もが確認できます。おかげで非効率だった、紙の地図で行先を確認したり、オペレーター・ドライバー・営業担当者が電話で何度もやりとりしたりする必要はなくなりました」(佐藤さん)。

G Suiteの導入を機に、各オペレーターのデスクには2台のディスプレイが設置された。オペレーターは、2台のうち1台のディスプレイ上にGoogle スプレッドシート(クラウド上で使用・共有できるGoogle™ の表計算ソフト。)で作られた配車予定表を表示させ、それを参照しながら、もう一方のディスプレイで配車依頼の内容を記入していくといった使い方をしている。

本社事務所のオペレーターのデスクには2台のディスプレイを配備。Google スプレッドシート™を使った配所予定/配車依頼の管理が効率的に行われている。

一方、ドライバーは、これらの情報にスマートフォンからアクセスして、自分の予定や依頼内容を確認したり、顧客の連絡先を参照して、現場から直接顧客に連絡を入れたりすることが可能になった。

「加えて、G Suiteのポータルには、Google マップで作成した収集場所の地図情報が約3,000件用意してあります。これにより、収集場所の確認作業を全てスマートフォン上で済ますことが可能になりました。その結果、本社事務所で雑然と管理されていた地図ファイルがきれいになくなりましたね」(駒場さん)。

G Suiteのポータルでは、スマートフォンで撮影した写真をアップロードし、共有することもできる。

「ですから、たとえば、収集対象の廃棄物が依頼内容と異なるとドライバーが感じたときには、廃棄物の画像をオペレーターに送り、確認をとることができます。口頭で依頼内容と実際の廃棄物との違いを説明するより、お互い簡単に説明や理解ができ、手間が省けるようになりました」(駒場さん)。

4. 勤怠管理負荷が約1/3に

全ドライバーへのスマートフォンの貸与をきっかけに、日環が業務効率化のもう一つの手段として採用したのが、KING OF TIMEだ。

同社では従来、タイムレコーダーと紙のタイムカードによってドライバーを含む全従業員の勤怠を管理していた。そのため、給与の締日となる月末には、各部署の担当者が、部員の勤務時間を手作業で集計し、紙の用紙に書き込み、その集計データをまた別の担当者がチェックし、のちに管理部門の給与計算担当者がさらに点検して、パソコンのエクセルに入力、給与計算ソフトに読込ませるという作業を行っていた。

「この一連の作業は手間がかかり、各部署でのタイムカードの集計/チェックから給与計算を終えるまでに1週間ほどの時間を要していました。給与は毎月25日締めの翌月5日払いですからいつもギリギリでしたね。そんな勤怠管理の負荷が、KING OF TIMEの導入で大幅に削減されたわけです」と、総務部事務課係長の黒川さんはいう。

KING OF TIMEは、タブレットやスマートフォンを出退勤の打刻用端末として使うシステムであり、打刻記録はクラウド上にあるKING OF TIMEのシステムに即座に送信され、管理される。そのため勤怠管理の担当者は、勤務時間の集計に手間をかけずに済むようになった。もちろん、従業員の勤務状況をリアルタイムに把握することも可能に。

総務部 事務課 係長
黒川 秀明さん

日環では、本社事務所にKING OF TIME用のタブレットを設置し、共用型の出退勤打刻端末として活用している。またドライバーに向けては、スマートフォンでの出退勤打刻を可能にした。本社事務所にて出退勤を行うドライバーが大多数のため、基本的にはスマートフォンでの打刻を行う必要はないが、一部のドライバーは、日環の中間処理施設を拠点にしており、スマートフォンを使った出退勤打刻を行う必要があった。

「そうした細やかなニーズにも対応できるところがKING OF TIMEの魅力ですし、スマートフォンで打刻を行うと出退勤データだけではなく、GPSによる位置情報が併せて記録されるのは便利ですね。これにより、ドライバーは自分の勤務地で出退勤打刻を行ったことが自動で証明できるわけですから」(佐藤さん)。

こうしたKING OF TIMEの導入効果の大きさを、黒川氏はこうまとめる。「KING OF TIMEでは、従業員の日々の勤怠状況がリアルタイムに集計され、残業時間や打刻のミス/抜け漏れも見える化されます。そのため、日々のチェックは効率化されましたし、月末に集計/チェックの作業が集中するのも回避できるようになりました。結果として、月末の労働日数や労働時間の集計に要する日数は、従来の約1週間から2~3日に圧縮されています」。

5. もう以前のような働き方には戻れない⁉

前述したとおり、日環のドライバーはベテランが多く、従来の働き方を長く続けてきた。そのため、スマートフォンやG Suiteを利用した新しい働き方に戸惑い、当初は抵抗感も示したという。

「なかには、スマートフォンを使ったことのないドライバーもいて、これまでどおりのやり方に戻してほしいという声も上がりました」(佐藤さん)。

ただ、G Suiteで構築されたポータルが使いやすかったこともあり、スマートフォン活用に否定的だったドライバーも新しい環境に徐々に慣れて、その効率のよさ、便利さを評価するようになったという。

「今では、かつての働き方に戻してほしいという声はほとんどありません。むしろ、以前の働き方には誰も戻れなくなっているのではないでしょうか」(駒場さん)。

ドライバーによるスマートフォンの活用には、業務の効率化とはまた別のメリットもあると、佐藤さんは話す。

「スマートフォンをトラックドライバーの業務に活用している会社はまだ少数派で、当社のドライバーがスマートフォンを使っているのを見たお客さまから、『日環さんは、やっぱり他と違う。進んでいるよね』と評価いただくことが多くあります。このような印象は、当社への信頼や期待感の高まりにつながるもので、ドライバーのようにビジネスの最前線で働く人がスマートフォンを使う大きな効果と見ています」。

ドライバーは、スマートフォンとソリューションを併用することで、収集・運搬業務に必要な情報にアクセスできるほか、出退勤の打刻もできる。

日環におけるクラウドサービスや、ドライバーによるスマートフォンの活用ははじまってから間もない。「ですから、それぞれの利点も機能も、まだ十分に活かし切れているとはいえません」と駒場さんは語り、こう続ける。

「今後は、G SuiteやKING OF TIMEの活用を進めるなかで、スマートフォンの使い方をより洗練させたいと考えています。その意味でも、ドコモのサポートや提案力にはこれからも期待しています」。

※本記事の情報は、2018年10月時点の取材にもとづくものです。

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